明日のアタシはどんな色/たにがわR
お店だ。横で、アザレは微動だにせず、色紙を見つめている。いつもは味噌汁の味噌の色にこだわって、いろいろ言うのに今日はそんなことを気にしてもいないようだ。
カシャン、受話器を置く音にもまったく反応をしない。
「どう? 決めたの? 」
あまりにも動かないアザレに対して、生存確認の意味も含めて声を掛ける。
「ん……どっちかなとは思うのよ。赤か青ね。けど無い明日の色なんてやっぱ無いのよ。裸の王様じゃないけど、見えない色があったらなとは思うわ。そうしたら明日の私の望みの九割は達成できるのよ」
「普段、ほとんど使わない色とかでも良いんじゃないか。金とか銀とかビリジアンとか」
「私の生き方に、金とか
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