明日のアタシはどんな色/たにがわR
 
言うよりも、困っているような、それでいてほっとしてるような複雑な表情を皆がしている。

 マンションに帰ると、アザレも仕事から既に帰っていた。食卓の上に折り紙を一枚おいて、椅子の上にひざを抱えて体育座りで座っている。
「そっちも会社終わったのか? 」
「ん……終わったというかね、もう明日なんだから別に終わったんじゃないのよ」
「そうだね」
そうして、アザレはまた無言になって、折り紙をみつめている。
「どうしたの?」
「ん……どうしようかなって思って」
「何を? 」
「色がね、決まらないのよ」
ああ、とその瞬間に気づく。日記代わりに折っている鶴の色をどうしようかと思っているんだ
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