Linda/なを
わたしにゆるされることは手をかさねること
かさねた手のしたで
なにもかもなにもかも、なにもかもが
何千回も、きっと百万回も
ひとりで
雨も掃射砲もまるでひかりで
ちぎられるからだもひかりで
痛みも病むことも降る雨のようにひかりで
ゆくことももどることもできない
六月の娘はひとりで生まれる
誕生日のお祝いにかたいパンを持っておいで
しろいふくらはぎをひらめかせるおまえの
わたしは遠くでその名前を呼ぶ
(ささやくのはありふれたうたのような)
(Cliche)
(その名前)
なにもかもなにもかもなにもかも
きっと何千回もくりかえされたことで
きっとなにもかもなにもかも
なにもかも、きっと百万回もいわれたこと
初出/藤坂萌子発行「Miel」3号
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