16才/まどろむ海月
 


朝が来ない
出せもしない手紙の 長い夜 
想うのは君のことばかりだった

 遠回りして 
 君の教室の前を通り過ぎてみようとしたとき
 階段のところでいきなり 出会ってしまって
 はじけそうな胸の高鳴りが
 聞こえてしまいそうで うろたえた

僕は何を望んでいただろう
許されるなら ただ
風に揺れる小枝になって
いつまでも君を 見ていたかった
君の声 しぐさ ほほえみが浮かぶ瞬間を
そして 蝶がとまる様に 白い肌に
触れてみたい それから … ?

それで 僕は君に
何を与えられるだろう
 なにも…
長い長い夜が明けても
結論はやはり同じだった

まだ暗い 家を出て
朝霧の中 自転車で君の街に向かった
君の窓辺を見上げながら
微かに ベルを鳴らして 走り過ぎた
君の夢の中 風鈴を震わせる
風のように…









初出 04'11/11
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