観覧車/王
夕日に照らされた川の向こうの観覧車は
ゆっくりゆっくりおんなじ所を巡る
そして鉄の箱の中では幾万の恋が
おんなじように回ってるんだろう
川辺は静かで夜を待つばかり
この水だっていつかの水で
なんどもなんどもこの川を巡っているんだ
僕はアスファルトから降りて草の上に座り
あたりが冷えていくのを見てる
秋の虫が一人でうたっている
冬がやってくのだと
ああすべてそうだろう
夜が来れば朝になり秋が行けば冬がくる
この身もやがて召され
そしてまたこの土手の草のように
芽吹いて
花を咲かせ
笑い
泣き
また帰るんだ
僕らは観覧車の中で恋をしてた
それは永遠ということなんだ
川のこちら側でそんな事を思ってる
寒さに震えてしまってもまた温められ
座り込んでもまた歩くんだ
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