夜のプール/
王
夜のプールで
水音だけ響かせ
泳いでいたのだ
足がつって
息苦しさに気が遠くなる
魚になりたかった
暗い水底どこまでも落ち
全ての境界があやふやになる
開放は絶望のかわいい双子
僕はだから水底を泳いだ
ターンしてまた掌が水を掴む
静寂の抱擁
どこまでも浮かぶように沈んでいく
やがて魚は冷え切った月と会い
ねえ少し休んでもいいかい?
疲労で痙攣する胸びれと尾びれを脱ぎ捨て
安らかな眠りにつく
捨てられたそれは虹色の夢だった
夜のプールにて
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