風の囁き/けんご
 
木の葉が水面に舞い
遠い街の音楽隊が通りを行く時
私の想いはそこはかとなく乱れ
思わずイギリスの賛美歌を口ずさむ

耳を凝らし密かに求める主の言葉
祈りの後に祈りを重ね
右であろうか 左であろうか
風の囁きを探して息を潜める

あまたある幸福と不幸の間の
ささやかな幸福に心安らぎ
私の心は時に幼子のようになっていく
然り アーメン

遥か林のざわめきが収まっていくように
神が優しいまなざしで私を見てくれて
悩みが掻き消えていく時が
私の至福の時だ

私の憂いは平安に変わり
私は感謝する
そしてまた
感謝する

ただこの風は気紛れで
その囁きを聴くために
私はどれほどの物思いの時を過ごすことだろう
この黄金色の季節の中で

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