ネットワーク(リスト国際コンクール)/Terry
本のお偉いさんたちが彼に握手を求めた。 コンサートが始まり、アナウンサーがマイクでショパン?世の名を聴衆に言うと、わっとざわめきが起こった。最前列の B-1 席を取った朱音。憧れのショパン?世がこんなにも近くにいる。胸をどきどきさせながら演奏を待ち構える。楽しみというものは始まる前がとてもおもしろい。彼が颯爽とピアノへと移動していく。リスト国際コンクールで第 1 位を飾ったショパン?世はソロで演奏をする。ピアノの鍵盤へ手を振りかざす瞬間まで、朱音はその瞬間まで、いや音を鳴らす瞬間まで網膜に写した。
まずは、リスト作曲ラ・カンパネラ。そのリズム感にただならぬ衝撃を受けたのは朱音だけではない。プロ
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