飛行機は頭上を飛ぶ/チアーヌ
こで止めて」
そう言ったら彼は車を止めてくれた
高速道路を降りてすぐのネオンサインまばゆいホテル街
少し離れて
彼は煙草に火をつける
わたしは車のドアを開け夜の中に降りる
飛行機が低い場所を飛んで行く
二度と会えない場所に
もう誰も入れない
だからわたしは優しくして上げようと思う
優しくしようと思う人には
昔はそんなことできなかった
もう忘れてしまった
もう死んでしまった
飛行機は頭上を飛んで行く
涙なんか出ない
泣くべき場所でも泣くべき時でもない
でも
喉が渇いた
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