お母さんのモンブラン/ZUZU
学芸会でぼくは
ぼくのお母さんを演じた。
ぼくの演じたお母さんは絶賛された。
でっぷり太っているが清潔である。
石鹸の匂いはしないが朝ごはんの匂いがする。
ぼくの間違えた答案を間違え方が正しいと誉めてくれる。
ぼくのぐらぐら揺れる乳歯を抜くために横っ面をひっぱたいてくれる。
ぼくが失恋して帰ってくると髪の毛を洗ってくれる。
子猫を拾ってくると悲しそうな顔をする。
いっしょにもういちど捨てにいくけれど結局ミルクを買っていっしょに帰る。
息子の成長に関してはいつも目を細めている。
息子が音楽を好きだというとすぐにおもちゃのピアノを買ってくれる。
だけど本当に欲しいのはエレキ
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