鳥葬/岡部淳太郎
 
都市では
すべての生きて動くものはその死の時に
鳥によってついばまれる
そのようにして葬られる
人も 例外ではない
夕陽が昇るように沈み
そのかたわらでくるった金星が
美しくほくそ笑む時
鳥は自らの歌のふところを求めて鳴く
すべての生きて動いていたものは
静かに横たわって刑罰を待つ
人も 例外ではない
歌を忘れたことの当然の報いとして
火を盗んだ者のように
肉をついばまれる
そして人は今際の時に
遠ざかる岩石の行列の中で鳥の声とともに
地下水の囁く声を夢に聴く
歌を忘れているので
その喉は叫ぶことを知らない
都市のあらゆる建造物も
歌に共鳴することはない
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