秋の日の溜め息の/
恋月 ぴの
何時ものように口ずさんだ歌は
受けとめてくれるはずの
君の笑顔をすり抜け
秋の日の溜め息となる
少し言い過ぎたのかな
でも一度口にした言葉は
もう取り消せなくて
気まずい思いを残したままで
謝りたい今の気持ちを
素直に伝えたくても
あと少し指が開けば奏でられる
キーの位置まで届きそうで届かない
音を外した僕の願いは
秋の日の溜め息となって
木漏れ日の静けさに滲んでゆく
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