花葬/蒸発王
 

母にとって
父の面影を落とす
私は
悪そのものでした


父が何をした人だったのか
母がどんな目に合わされたのか
そんな小さな事は
どうでも良かったのです


ただひたすらに
私は母の憎悪を浴びて生きていました


母は私を打ち
家中の鏡を壊して
私が映す父の面影から逃げようと必死でした


そんな母を
私は哀れむと共に
愛しささえ感じていました


母を救えるのは
決して私ではないと感じながらも

私は母を護ろうと必死でした




そんな私の戦いもむなしく



学校から帰ってくると
母は鏡に首を突っ込んで死んで
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