太陽みたいな/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
りない木造アパートばかりで、おかげで彼女の家は年がら年中日の光が当たらない。さすがにみかねて、もう少し日当たりのいいところに引越ししたらどうかと訊いてみたことがあったがまったく耳を貸さなかった。そもそも彼女は日当たりのいいところが大がつくほど嫌いで、蛍光灯の光ですら紫外線があたるなどと言ってよほどの事がないかぎり点けたりはしなかった。彼女はいつも、地蔵通り商店街にいくつかある雑貨店で売っていそうな仏壇用の蝋燭を点け夜をすごしていた。だから外出する時も日光が当たる時間帯を極力避け、夕暮れどきも終わりそうな時刻から山高帽のようなものを被ってうつむきながら街を歩いた。一緒に歩く時もそうだったし、たまたま
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