西域に消える/MOJO
、大きな丸いテーブルに総勢十人が集った。夕食のメニューは中華スタイルで、大皿の料理が次々に運ばれてきた。それを各自が小皿に取り分けて食う。確かに中華ふうの味つけがしてあるが、肉類は全て羊である。この辺りは回教徒が多く、彼等は豚を食わないし、牛はこの辺りでは嗜好品である。私はどうにか機嫌が直ってきた先生方のためにビールを注文した。しかしエキゾチックな中央アジアの美少女が運んできたビールは生ぬるかった。訊けば、厨房の冷蔵庫が故障したのだ、と言う。断じて私のせいではない。しかし私はまた消えてしまいたいような心持に陥った。
ここウイグル自治区は、行政的には中国だが、住んでいる者の大半は漢民族ではな
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