旅に出る/
浅野 すみれ
あ、来た。
掴めちゃうんだ。
雲って本当は食べられちゃうんだ。
割り箸に刺しちゃう。
−あ、でも心優しい人だけね。
「空の色は本当はたっくさんあるの」に、
あの子、聞こえない振りして飛んでちゃったのよ。
だけど、追いかけない。
追いかけないの。
だって、あの子は女の人になってしまったの。
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