加波山/プテラノドン
夏の朝―薄暗い夜明け。伸びてくる
陽射しとともに加波山神社の鳥居をくぐると
先客の爺婆達が、木陰で賑やかに笑っていた。
それから間もなく、鉢巻巻いた先達さんに
御呼ばれした座敷の上では皆、お茶を飲んだり、
茶菓子を食べたり、酒なんか飲んでは、
煙草の煙をくゆらせてみたり…と
和やかな雰囲気の中で神主さんが語った
神社の歴史に耳を傾けていると
あたりはしだいに朦朧として
境内の参列者が増えていくよう。
あるいは、かつての人たちや
これから先も―の、願いを湛えた本堂に
太い太鼓の音が響きわたると
皆は目を覚ましたように、深く坦々と
祈っていたので、どうやらその日僕は
僕が欲した僕の神様と近しい仲になれた
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