原風景/捨て彦
コスモス
すすき
金木犀
青く
それはほんとうに青く
筆で掻き毟ったような雲と
焦点を目指して伸びていく高速道路の
今日は至って空が高い平日に
走る車
であるそれは
山と山が次々と被さり合い
きっと何十年も雨風にさらされた
四階以上が不要な場所を通りぬける
つまりやり過ごされることでしか思い出されない
くたびれた骨格の建物の
群れがそこにあって
もちろん
こんなところでおれは
しぬつもりも
いきるつもりもない
ここで降りようよ
知らないところだよ
ここ
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