小詩集「書置き」(七十一〜八十)/たもつ
 


太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった

+

お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
おかわり、も覚えました
私は悪い親だったのかもしれません
明日が卒業式です

+

彼女がカメを連れて遊びに来たので
二人でテレビを見ることにした
ちょうど五対一の真っ最中だったけれど
どのようなシステムで
点数が増えあるいは減るのか
僕らは知らない
それでもその人たちが
二人の好きな色の服を着ていたおかげで
小一時間ほど楽しむことができた
彼女がビニルの袋から出した餌を
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