KUGUTU/まどろむ海月
 
通して
  操りし者自身の知らぬ秘密を探り当てたのだ

  吾が神を名のる傀儡師よ
  あなた自身を操る力の秘密を知るのは
  あなたではなく 今やこのあなたの操り人形の方なのだ

さてさて 奇怪なのはこの話の続き
 傀儡師と思われた者も 傀儡にして
 その傀儡なる傀儡師の 傀儡師は
 傀儡なる傀儡師の操りし 当の傀儡であった
と? いやいやそのような陳腐な話ではござらぬて

茫然と佇むかのような
彼の神なる者の表情は
よくも分からぬ
実に奇怪なのは
頭上の糸をことごとく切り離したがごとく
歩み去った彼の行き先じゃよ

彼にあらゆる不自由の辛酸を与えた街に
彼は戻っていったのだ
 神の神なる者があこがれる
 その苦き美酒を味わいにゆくのだ と

人としての歓びと痛み という美酒を



           
戻る   Point(0)