予言/大小島
テーブルの上にはみかんが乗っているだろう。
そのみかんの皮は少しだけ水分が失われているだろう。
ほかにも様々なものがのっているが、君にはみかんしかみえないだろう。
出窓から射す正午の光りとみかんしかみえないだろう
そこに一匹の小虫が飛び込んでくるだろう。
おそろしく敏捷に日の光りを横切ってテーブルの上を飛ぶだろう。
そして君は思うだろう。
その小虫がただの小虫ではないのだと。
君は触れるだろう。
今君が座っているフローリングの床を。その偽物の木の床を。
君は触れるだろう。みかんを。木からとられたみかんを。君はついに触れられないだろう。その小虫にだけ。
君は最後に自らに触れるだろう。
そうしてゆっくりとせりあがってくるように
君は君自身を理解する。
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