ハートビート/nm6
 
ミスター。
ミセス。
彼女はもう乗り換えたので、すれ違う瞬間に、
イサムノグチの照明が初日の出の海岸線に、
バタフライスツールの曲線が飛ぶ蝶の羽の座り心地に、
貝殻が妙に、貝殻の模様が妙に、


(ザ・ザ)



ハートビート。
ハートビート。
応答セヨ。



そうだ、それだ。
太陽が昇ったときのようなタイミングだ。
そう、
それで、
見えないけれど、
分かるはずだ。分かるはずなんだ。もう少し。
嘘だってつく。花だって咲く。石は砂になるし、風邪はすぐ治る。
少し。少しだけ。待ってくれ。




そうだ、
あれ、いま、ピンクなので、
間違いない瞬間だ。



(ザ・ザ)
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