太平洋ベルト/なかやまそう
雨の音を聴きに
外に出ると
足あとがすべて
雨音で消えてしまうので
暗闇に映る
自分のそんざいを
たしかめたくて
あたりを眺めるけれど
なにひとつ
くっきりと映るモノは
なくてぼくも
ぼやけていた
滲んだ川から流れてくる
眠くならない錠剤は
プチプチと透明な
粒子が走り回る毒
をもった
おおきなくらげとなる
午前0時を過ぎると
産業革命にのり
おくれた理不尽な
町工場で働く
重労働者はおさない
けものを追いかけ
いっせいに
街の方へながれはじめる
囲い込まれた部屋の中で
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