詩を趣味にして、貴方に/りっと(里都 潤弥)
 
 詩を趣味にして十数年になる。はじめたときは、「これはお金のかからぬ趣味だわい」などと思っていたのだが、続けてみると、意外とそうではない。定量的にはおもわず本を自費出版したことによる数十万の出費があげられる。定性的に言えば、詩を書いていると仕事に差し障り、生涯賃金が下がりうる、というのがある。悔いはあまりないのだが、婚期は遅れたかもしれない。

 詩を趣味にして十数年になる。恋愛の詩を書くのはあんまし好きではない。別に「愛している」といったことは、普通の言葉で、声で、身体で、十二分に伝えることが出来ると思うからだ。とはいえ、さすがに29にもなると狡猾になってくるのであり、こっそりとラブを潜ませ
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