記憶/AKiHiCo
頭の中の糸が絡まって
記憶が擦れてゆく
あの日の笑顔さえ消えてしまう
このままでは――
動けなくなった体でも
瞳に映る景色だけは鮮明で
キミの涙が零れるのが見える
僕は指を動かす事さえ出来ないけれど
キミの手を握り締めたいと思う
だけど、キミが誰か判らない
硝子越しに見える四角い森は
今日もざわめいて
空はどこまでも青いけれど
僕はいつか
その美しささえ忘れてしまうだろう
崩れてゆく、音もなく
僕の記憶たち
冷たいシーツに落ちて
床に転がって何処へ――
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