セカチューのリアル<村上春樹/セカチュー/となり町戦争>とランボーの埋葬:切り貼り/がらんどう
 
し、お話はすべて、かつては本当だったのだ。そして戦争も宮廷生活も、歴史上の出来事はすべて、かつて本当に起こったのだ。お話はすべて、かつては腹の底からの実感だったのだ。(・・・)しかし、世界が終わりを迎えようとするときには、もはや現実はなくなり、あるのはお話だけになる。お話だけが、われわれに残されたものになる。お話がわれわれの唯一の現実となる。われわれはシェルターの中で腰をおろし、目に見えないシャハリヤールにむかいシェヘラザードよろしくお話をしつづけることになる。それがいつまでも続くことを期待しつつ・・・」
(グレアム・スウィフト『ウォーターランド』より)

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