ゆめみる動物園/六一介
てらてらひかる 満月の夜
年老いたゾウは 檻の外を見ている
外はすっかり 秋の装いだ
どおりで最近 足の筋がしくしく いたむわけ
長いはなで 鉄柵に触れ
静かに眼を 閉じている
―眠れねえのかい…?
隣の檻から ライオンが囁く
ああ、こんな夜だ
なかなかゆめも 見られないのさ
そういうあんたも そうだろう?
―そうさな、
組んだ前足の上にあごをのせて
ライオンは ひげを振るわせて微笑む
―しってるかい?
はす向かいのオラウータン爺さんな、
行き先が決まったらしいぜ。
それはよかった
あ
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