付着現場/A道化
カメラは、設置されていない
高架下に紛れてしまい印象に残らぬ翳りを
僅かに掲げ示するように頭を前後する
ぐず、ぐず、ぐず、と音を立てる老婆の喉は
翳りそのものだった
コンクリート壁に寄りかからず折れ曲がり塞がり
クシャクシャにしゃがみ潰れていれば
時折紛れ込んだいやらしい蛍光色の光の範囲でだけ
少女のように見える、ということ
それは錯覚というあまりにも痛々しい装飾
けれど、少女でなく、泣くこともなく
カメラが、設置されることはない
時折の
通り過ぎるだけだと強調すべく酷く強がるリズムの足音は
背負ってきたビ
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