終わりのない唄 -the reverse side-(novel) /とうどうせいら
バスを駆け下りると、ドアが背中でパスンと閉まった。
ブロロロロロ………・・・
行っちゃう。あれに乗ってれば、出勤時刻に間に合った。
ため息。バスストップのベンチに座る。
お尻に変な感覚が残ってる。気持ち悪い。乗ると硬いのがあたる。というより、あててくる、男がいる。
もうずっとそう。毎朝。
「嫌になるよ、今朝……」
最初に遭った時は、彼に電話した。
わたしの彼は遠い街に住んでいる。列車で何時間もかかる。途中2度ほど大きな駅で乗り換える。わたしの住む所よりも、大きくて賑やかな。
んー、次から気をつけてバスに乗ったら? 乗る時間帯を早めるとか……。
「……それだけ?」
……
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