冬の羽/木立 悟
 



雨の森 羽の音
言葉にこぼれる
声の水音
透きとおった殻のなかで
生まれ出ようと旋るもの



空が融ける
雲の一角
灰の放射が
ひとりのまぶしさが
おそれを消してゆく



川にゆらめく水鳥の路が
幾つかの午後を通りすぎ
遠い陽へと繋がってゆく



森に鳴りわたる熱が
新しい響きを消し去っても
落ちる水が
落ちる光が
鳥を他の冬へと導いてゆく







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