シチュー/船田 仰
ストックした一限は賞味期限切れで
難しい顔でぼくは懐柔された
いつだって子供じみたきっかけに
チープなカバーをかけてるだけ
ふやけた愛とかくれんぼするたび
数えるのをやめようとおもうのに
シチューに溶けた曖昧な懐かしさみたく
たびたびカウントダウンを続けてしまうね
なんとなくふやけたにんげんだから
きみたちのしっぽを掴み損ねた朝を
同系色の夢に見ているはずなのに
おもいだせないまんまだ
きまらないまんまだ
にゃー、と言う曖昧な試み
カバーは外すためにあったのなら
ぼくは間違ったんだろう
なにいろだったのか教えてくれたら
偽物を持ってバスに乗るのに
なにを知らなかったのか分からないまま
シチューの底で紛れている
慌てることもしない木漏れ日のにおい
帰り道のバスがすれちがったのは朝じゃない
ぼくは間違った答案用紙に
埋めるべきものをかんがえてるんだろう
ふやけた
ジャガイモみたいななにかを
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