風/dew
 
優しく頬を撫でては
何も言わずに去っていく

貴方の指先のよう

簡単に私の心に入ってきて
波を立てたまま
違う海へと行ってしまう

引き留めたくても
叶わない

指の間の細い隙間から
柔らかくすりぬけていく


誰のものでもない貴方


その事実は
少しだけ私を安堵させ
大いに私を惑わせる



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