宇宙葬前奏曲/本木はじめ
 
破裂する宇宙服からこぼれ出すはるかな草原駆けゆく少女


一片の光は遂に熟れ過ぎて落下してゆく宇宙の果実


むらさきの虚無が飛来す青空の上で吐血す宇宙飛行士


太陽のひかりときおり反射させ星を装う人工衛星


人は詩を、動物たちや草花は丸い地球を知らずに眠る


大輪の向日葵とおく無意識の底でひろがる 宇宙の響き


目を閉じて思い描こう月面の風に微笑むぼくらの子孫


真っ黒なコスモス咲いて僕はもう生まれた季節を秋だと思う



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