ゆく街/捨て彦
 
いつも土地のことばかり考える
無駄ででたらめな不恰好の?
空はあんなにも晴れ渡っているが
当面はどうでもいい話だ
何かにつけて馬鹿ばっかだろう
汚れた廃墟が好きなのは
そこでかくれんぼうができるからだった


電車の座席に落ちた花粉がゆっくりと床に染みていく
やがて街のコンクリートに色がつくと
夜にはあたたかく灯るんだって
そういう話をおれはとても俯いて聞いていて
聞いていたからおれはとても俯いていた


くちびるを
つきだすと風があたる
ここは街だ
まるで徒歩の限界を知った
くたびれた野生のようだ
なんて

知った顔の君だよ


くちびるをつきだすと風があたる



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