マゼンダを流して/オオカミ
 


嘘みたいな夜明けがきて
はしった


くちずさむうたは 誰もしらなくて
ベッドをさがしてるのに
誰もしらなくて
わたしの目じゃみつからない


猫のジロさんが言うには
「お前は知らなすぎた」らしい
犬の花ちゃんの肉球の方がずっとやわらかくて
なみだがでそうよ、といいたかった
ららら ららら らら



ねえわたしもうすぐしぬかもね
うそでもない ほんとでもない
しぬかもね とおもった かなしいくらい
見つからないベッドの話はやめにしよう


みじかいことばのほんとと
ながいながいうそのうた やさしい
しめったまつげの重みで わたし生きてる
ここにたっていられるのは


たくさんのしがらみが あったから
嘘みたいな夜明けを この目でみた


みつけた はしった うたった



いつかしぬかもしれないわたしは
いつだっていきていたい




はしれ はしれ はしれ
ぬれたまつげのふちが視界いろどる
うそみたいな夜明けに



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