アルマイト/黒川排除 (oldsoup)
 
アルマイトの内側は
悲しい液体でべっとり
時々窓をつくり
そして外す
静かに音もなく
箱馬車は近寄り
箱を置いて消える
またもやアルマイトの
加工がなされた内部
塗料くさい一室
反射を待っている鈍さ
鈍い蹄鉄の音
が離れていく中で
何事もなかったかのように
御者は発光する
闇でなく光
対立するものの中へ
落ちてゆく敷石
また浮かび上がる敷石
彼にとって肉とは
そして食するとは何か?
闇の中で広げた
口腔の闇の広さ
浮遊する敷石が整列し
アルマイトのごとく光り
それはことごとく光り
「そちらへ行ってはいけない
子供たちを
追いやる鞭を振り上げてはいけない」
注意する声
それは御者であり
悲しい液体であり
そして内側であり
「だが馬は行ってしまった
遠いあの闇の中へ」
まぎれもなく内側
そちらがわへ湾曲し
遠ざかると見せかけて
すべて飲まれる
アルマイトが沈んだ先で
いなないている馬
きこえる
馬の腹が白く濁る音が
(・・・/・・・/・・・/・・・/・・・)
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