冬獣行/木立 悟
 



原の終わりを示す石標
頬を照らす風に押されて
廃屋は花に沈む
空は地の午後へ近づく
忘れられた道から生まれる鴉
砂の上にあふれ出る夜



金銀銅の狐がむさぼる
返り血のつばさ
地を狩るものたちのはばたき
夜の目のなか かがやく緑
夜の傷から来る光
哭く森たち
哭く森たち



稲妻が照らす地
崖を流れる雨水
根を走る白い汁
泥の上を歩むけだもの
光を断ち穂を散らし闇を結び
馳せつづけ馳せつづけはるか
わざわいを宿したさいわいを抱く






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