傷口の結晶/浅野 すみれ
あの子がとっても憎いのは
真っ赤なリボンが似合っているから。
「パパとママに買ってもらったのよ」
わたしはせっせと働いて、働いて、働いて。
お母さんもお父さんも嘘つきだから、
歪んでいたわ。
歪んでいたんだわ。
「女の子は仕事をしすぎると、おっぱいが硬くなるのよ」
と言っていたけど、お母さんに似て小さかっただけだわ。
それでも、いつかはお姫様になれるかしら。
わたしの部屋には真っ赤なドレスがずっと壁にかかっているの。
お母さんに笑われながらも、これはわたしの勲章なんだわ。
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