展覧会/ゆみ
 
 あなたの中に
流れていたとは とても思えない
この どろどろした
くらい色の
赤 は
夕焼けよりも直接的に熱く
絵の具よりもリアルで
子宮よりグロテスクな
この
あなたの腕から
しろいほねを覗かせた腕から
見える

流れ落ちる
固まってはくれない

乾いた硝子には 決して
手を触れないでくださいね
案内役の 天使が
羽をもぎとられた 天使が
わらいながら 言う
あなたのしたことは正しいのだと
そういうふうに わらいながら 言う
あなたのてのひらに
もう 体温は なく
わたしは 知っていたはずなのに
それでも
わたしの血液と同じあたたかさを
あなたの てのひらに
もとめる

天使は わたしが殺した天使は
羽と 瞳と 血液と 腕がなく
わたしは さいごまで 気付かない
あなたは とうに わたしを許して
いたのだと
天使は
わたしの殺した天使は
腕がなく
それは
切り取ったあなたの 腕 と酷似して

この腕は
わたしが切り取った
あなたの この腕 は



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