展覧会/ゆみ
すっかり乾いてしまった
硝子の向こうに
展示 された
あなたのてのひらは
何もかもを与えてくれるような
あたたかさを持っていて
その実
何も 与えてはくれない
硝子の模様は
夜空と そこに浮かぶ
死んだ人の瞳によく似た
ちいさな光 と
純白のもぎ取られた天使の羽
わたしが 殺して ちりばめた
わたしは
わたしが手に入れようとして
手に入れられなかった あなたの
あたたかな てのひら を
腕ごと切り取って
まだなまあたたかい
赤にまみれた硝子を 冷やして
固めようとして
失敗する
固まってはくれない
このどろどろした液体は
うつくしい あ
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