或る男が教えてくれたこと/いとやん
れ違いざまに男は ふっ と鼻で笑った
ぼくは気にせず歩き 10歩進めたところで 振り返ってみた
しかし男はもう消えていて
ただ落ち葉が いつもどおり 風に吹かれていただけだった
いつもなら 変なやつもいるものだ と片付けて頭の中のファイルに整理していたが
なぜかこの男が頭から離れず 既存のファイルに整理することはできなかった
きっと世の中は最後に勝ったやつが勝ちなんだろう
うん、絶対そうなんだよな
男に会うまでしていた考え事は もうどこかへ消えていて
今はただそのことだけを考えている
おれは形勢を逆転して あの夢を叶えてやる
絶対 叶えるぞ
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