わが原風景/岡部淳太郎
誰でもというわけではないかもしれないが、人は多くの場合、記憶の中に原風景を持っている。それは、その人の初めての記憶というわけではないかもしれないが、幼い頃に見た風景がその後ずっと頭の中に残りつづけていて、その人の生に少なからず影響を与えることになる。原体験と意味合いが似通っているが、映像的なイメージを伴っているため、時に郷愁のような情感を醸し出すことにもなる。それは山だったり、海だったり、高原だったり、街中だったり、人によって様々だが、その映像がいつまでも記憶に残りつづけていることに変りはない。
詩を書いていたり、絵を描いていたり、何らかの創作活動に携わっている人の場合、それ以外の人よりも固
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