ひつじで 目覚し時計で 安定剤で/ゆきお
わたしにとっての寝る前のひつじは
今までずっとあなただった
あなたの寝息で
あなたの鼓動で
わたしはゆっくり眠りにおちて
わたしにとっての目覚し時計は
今までずっとあなただった
あなたの伸びで
あなたのあくびで
わたしはゆっくり瞳をあけた
あなたがとなりにいない今
わたしは
眠ることも
目覚めることも
コントロールできずにいる
わたしにとっての安定剤は
今までずっとあなただった
あなたの体温で
あなたの優しさで
わたしはゆっくり安らげた
あなたがとなりにいない今
わたしは
考えてみる
歩き出してみる
ひとりだけでがんばってみる
ひつじも
目覚し時計も
安定剤も
代わりはきっとあるけれど
あなたの変わりはいないから
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