真面目に生きること/かのこ
 
あ、この世界にはまだ
こんなに小さな膝も生きていて
それなりの格好で駅のホームに立つことも知らない
醗酵していく、あたしの頭ん中は

その疲れきった表情は
子供とも大人ともつかない
その周囲を陽気に飛びまわる蝿たちは
ひょっとすると何も知らないのかな

どこまでも主観的な、その話し方

「死んじゃえばいいのに」
憎しみでもなく哀れみでもなく
ただただ純粋にそう思うこと
死んでも口に出せなかった

真っ直ぐに前を見据えて
大口で語るんだろう、たぶん
「だって、生きたいから」と
蝿たちの言葉を借りて

駆け抜けていく、オーバーラン

誰もいない部屋に
夜遅くくたびれて帰ると
机の上に広げられたノート
あの子に宛てた、最後の手紙
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