朝のふちどり/木立 悟
 




すべての前を涼しげに
見えない波がすぎる朝
灰とむらさきは結ばれて
ゆるやかな灯に沿い
淡く淡く歩いてゆく


それまでどこにもいなかった
黒い点が現われて
光のまわりをまわりまわり
重なり隠れふたたび現われ
まわりまわり 増えてゆく


白と灰緑
花と葉の群れ
土を駆け
土に触れ
見えないふちどりを
ひとつまたひとつまとってゆく
白と灰緑
花と葉のうた
あなたがあなたでありつづけるふちどり



なぜでしょうか
闇のなかへ消えてゆくあなたが
立ち止まったように感じたのは
なぜでしょうか
なにも見えない闇のなかで
強い意
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