小詩集「書置き」(三十一〜四十)/たもつ
 
墓だということは
小さな子供でも知ってる
どれだけ偉い人なのか、ということは
入学して二年目に勉強する
三年目になると子供たちは
先生に引率されて
ピラミッドの頂上に登る
先生は町を見下ろしながら
あれが学校、駐在所、何とかという商店
と町の地理をひととおり説明をする
それから数年後町を出た子供たちは
他の町で育った同級生や同僚に
懐かしそうにその話をする
そして大抵の場合
そんなピラミッドなど知らない
と言われる



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