砂嵐/
千波 一也
ならない
私は走る
眼球たちの注ぎのなかをひた走る
オアシスはすぐ其処だ
けれど
私を迎えたものは
空から降り注ぐものたちの集落
水たまり、のようなもの
私は此処では潤えない
辺りに転がる亡骸(なきがら)も
他人事ではなくなってきた
注ぎをやまぬ優しい成分たちに
何かを言いかけて
ジャリッと
私は
舌を噛んでしまった
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