砂嵐/千波 一也
 
ならない


私は走る
眼球たちの注ぎのなかをひた走る
オアシスはすぐ其処だ


けれど
私を迎えたものは
空から降り注ぐものたちの集落
水たまり、のようなもの
私は此処では潤えない

辺りに転がる亡骸(なきがら)も
他人事ではなくなってきた



注ぎをやまぬ優しい成分たちに
何かを言いかけて
ジャリッと
私は
舌を噛んでしまった





戻る   Point(11)