小詩集「書置き」(十一〜二十)/たもつ
人の嘘で
鳥は空を飛ぶ
鳥の嘘で
ドアは人を
閉じ込める
ドアの中で
人は鳥を
飛ばし続ける
+
いつも
三人なのに
いつも
八等分
してしまう
+
叩く
ただひたすらに
叩き続ける
それを何かの確認だと
思うことなく
+
指先から
枯れた草の匂いがする
帰って来ないあの人の指先も
同じ匂いがした
他に何も似てないのが
おかしいくらいに
+
あのきれいな色の
ジュースを飲めば
きれいになれる
かもしれないのに
必ず十円が足りない
+
紙に知らない人の
名前を書いてる
多分それは
知
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