詩の立ち上がる瞬間/栗田小雪の日記を読む/山田せばすちゃん
 
いきなり見ず知らずの女性名でメールを貰ったときにどう対処するかで、その男がだいたいどんな人生を送ってきたかがわかる気がする、などというのは大嘘だけれど、何かと物騒な昨今、そういうあやしげなメールはウイルス感染の危険性という観点からさっさとゴミ箱に入れてしまうのが賢いインターネット渡世のありかたであろうなどという事は、いかな根が楽天的な俺でも容易に想像がついてはいたのだ。さはさりながらも、おろかにもうかうかとそんなもんを開いちゃったりする時点で、だいたいにして俺の人生は終わっているのかもしれないけれど、そこいらの事情を含みながら開いたメールにはたった一行だけ「あなたの詩を読みました。」それだけだった
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