雑踏中のさよなら。/杉田蝶子
別れのときは、
必ず雑踏の中で
あなたの声が
通るような道じゃ
さっき振った雨の雫に
電線が輝いて
空気は澄んで
美しさに
切なくて死んでしまいそう
別れのときは、
必ず雑踏の中で
口付けの合間
あなたの息だけ吸って
それだけで生きて
私だけの息を吸って
そうして生きていて
身も千切れるほどに思ったって
あなたの家は
100メートルも先
離れないで
夜もあなたがいなきゃ
あたしは何で
生きればいいの
嗚呼、
混乱の雑踏の中
嗚呼、
狂乱の頭の中
別れなんて死んでしまえばいい
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